九頭竜の氾濫が続くと
罪人が人柱にされることがあった
その年は罪人などは居なくて
迷い込んだ落武者の子どもが人柱にされた
昔は実際に人が括り付けられて埋められたらしい
その頃は一晩置いて
雨風が収まるのを待って縄は解かれた
子どもの泣き声を聞きながら
村の大人は酒を酌み交わす
ひと眠りした
子どもの泣き声も
嵐も収まっていた
縄は解かれ
子どもは消えていた
母親が連れ戻したのだろう
村人は引き上げた
母親の遺体が下流で上がった
落武者の連れは一人残らず消えた
村長は背筋が冷たいものを流れるのが分かった
山の中に鋭い視線を感じた
馬鹿なことをした
途中で引き返せたのに
猿の声に気付いていたが
そのまま酒を飲み続けた
子どもは猿が連れ去ったと分かった
誰にも言わなかった
誰かが貯水池を開けて
落武者殺しの噂が流れて
村から人が消えた
それを確かめた少年は
山奥に向かって歩き始めた
サルたちの列が続いた
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