<記憶の断片>
山の神の悲しみ
山の神の怒り
人が山へ入る理由は様々
人は山を恐れていたし、大切にしていたし、感謝もしていた
強欲は奪うことしか考えない
強欲には感謝はない
用済みと思えば山に捨てて知らん顔
強欲は年を重ねて動けなくなった猟犬を置き去りにする
血のつながりが無い子供を置き去りにする
自分の親さえも山深く置き去りにする
山の神は一つ秘湯の悲しみを拾い上げ自分の背に担ぐ
山の神は怒りを胸にするだろうか
山の紙もまた悲しみとなって一体化する
怒りではだれも救えないことを知っている
*
森の樹木を切り倒して
太陽光パネルを並べる
人の道を迷うさまが見える
心を失った結果
森で動物や植物と遊んでいた子ども
社会人になって戻ってきて
木を切倒す
*
*
子どもの声を聞かずに自分の強欲を優先させた母親
母親の邪心が若い夫に入り込み非情の手を下した
この母親には涙を流す資格もない
母親こそが子殺しの真犯人
*
少年は突然の侵入者に驚いた
母親が連れてきた男の目論見は、しかし、瞬時に見抜くことが出来た
幼いながら家を守ろうと必死になった
少年の心配を母親に伝えたのは誰か分からない
少年が同居する祖父母だったか
愚かな母親は子どもの疑いを夫に伝えた
我が子の気持ちを軽んじるだけで済まないことに気付かない
子どもは何度も母親から裏切られていた
卒業式
子どもが集う最後の日
子ども声が届けられたかもしれない日
声は届かなかった
*
京都
不思議な場所
落武者の出発点
落武者と家族の葛藤
丹後は京都の奥
日本海へ通じる
富山ほど有名ではないが
ホタルイカが辿り着く
*
母親に狂気を蘇らせたのは
語られない理由があった
少年が命を落として漸く
母親の耳に子ども声が届き始めた
本当に大切なもの
母親は今
心の奥深くに
仕舞い込んで
溜息を吐いた
*
